第49回テーマ: 「AI戦国乱世と半導体リセッション」
【第49回デジタル松陰塾】収録日(05/03/2025)
AI要点
この会議では、AI半導体業界の競争激化と中国企業の台頭、NVIDIAの市場シェア縮小の可能性について議論されました。
また、ラピダス社の半導体事業計画と日本政府の支援に関する懸念が表明され、技術流出のリスクや半導体産業への投資政策の妥当性が検討されました。
さらに、日本の半導体産業の将来と、スパイ防止法の必要性についても意見が交わされました。
Nvidiaの中国競争
豊崎氏は、AI半導体業界が戦国時代に突入したと分析している。現在の覇者であるNVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、中国企業の台頭に脅威を感じており、特にファーウェイとその半導体部門ハイシリコンが強力な競合になると予測している。
中国市場の重要性や、SMICの製造プロセス向上により、中国勢が価格面で優位に立つ可能性が高い。また、EVや自動運転分野でも各社が独自のAI半導体を開発しており、NVIDIAの市場が縮小する可能性がある。
このような状況下で、NVIDIAは量子コンピューティングなど新分野への投資を始めており、焦りが見られるという。
ジェイソン・ファン氏の中国訪問
会議の主な内容は以下の通りです: ジェイソン・ファン氏の中国訪問と日本立ち寄りについて議論されています。
ファン氏の中国での発言と米国での公聴会での発言の矛盾が指摘されています。
また、NVIDIAの半導体が中国に流出している問題や、中国のAI半導体技術の進歩についても話し合われています。
特に、ファーウェイのハイシリコン子会社の技術力が向上していることが強調されています。
さらに、中国のメモリー半導体メーカーの技術的キャッチアップについても言及されています。
最後に、ジェイソン・ファン氏の株式売却のタイミングや、スーパーマイクロ社との関係について疑問が呈されています。
半導体業界の現状レビュー
中島氏と豊崎氏は、半導体業界の現状と将来について議論しています。主な点は以下の通りです: 生成AI関連のデータセンター建設ラッシュが一部中止・凍結されており、実業界の投資が止まっている一方で、金融関係者や一部のアジア系企業が投資を続けている。
半導体業界全体では、一部の高額製品(NVIDIAなど)を除いて、ほぼ全ての領域でリセッションが始まっている。
多くの大手半導体メーカーがリストラを実施または計画している。
日本のメディアや政府は半導体産業を楽観視しているが、実際には周期的なリセッションがあり、リスクの高い業界である。
日本の半導体人材育成戦略には疑問があり、中国の方が教育レベルが高いという指摘がある。
豊崎氏は、日本は半導体以外の未来セクターの人材育成に注力すべきだと提言している。
日米自動車関税協議
豊崎氏と中島氏は、自動車関税と相互関税の違いについて議論し、日本政府の対応策を検討しています。
豊崎氏は、日本だけの特別扱いは難しいと指摘し、自動車メーカーが国際的に連携してトランプ大統領と交渉することを提案しています。
また、半導体産業に関して、ラピダスのファウンドリーをインテルの工場で行うことや、アメリカでの生産拠点設立を提案し、これらが日米関係改善と経済安全保障に寄与する可能性を示唆しています。
第50回テーマ: 「ラピダス・クライシス:国策半導体の光と影」
【第50回デジタル松陰塾】収録日(05/03/2025)
AI要点
ラピダス法案の問題点
デジタル松陰塾の第50回収録では、ラピダス法案について議論されています。豊崎氏は、ラピダスの小池社長が半導体製造だけでなく北海道バレー構想などのスマートシティ計画にも手を広げていることに驚きを示しています。
また、ラピダス法案により10兆円以上の国費が投入されることが決まったことに対し、豊崎氏は懸念を表明しています。
特に、自民党内にラピダス議連が存在することや、ラピダスの情報が完全に公開されていないことを指摘し、この状況を批判的に見ています。
ラピダス社の半導体事業
豊崎氏と中島氏は、ラピダス社の半導体事業について議論しています。
豊崎氏は、ラピダスが世界の主要半導体メーカーに比べて遅れをとっており、大手顧客を獲得できていないと指摘します。
彼は半導体ビジネスを釣りに例え、ラピダスは高級魚(大手顧客)を狙えず、ハゼ(小規模顧客)しか釣れていないと説明します。
また、両氏は国策企業としてのラピダスの透明性の欠如や、半導体産業への投資よりも社会インフラの整備を優先すべきだという意見も述べています。
ラピダス次世代プロセス開発
ラピダスの現状と半導体業界の動向について以下のようにまとめられます: ラピダスは2027年の量産開始を目指していますが、具体的な事業計画や顧客の見通しが不透明な状況です。
一方、TSMCやサムスンなどの競合他社は既に次世代プロセスの開発を進めており、2025年には2nmプロセスの量産が始まる見込みです。
豊崎氏は、ラピダスへの公的資金投入が新たな日米半導体摩擦を引き起こす可能性を指摘しています。
また、ラピダスは債務超過に陥っている可能性が高く、累積赤字が続けば会社の存続が危ぶまれます。
半導体業界全体では不況に入っており、トランプ前大統領の関税政策の影響も懸念されています。
このような状況下で、ラピダスの事業の実現可能性や国際競争力に疑問が呈されています。
日本の半導体産業の課題
豊崎氏と中島氏は半導体産業に関する議論を行っています。
主な論点は以下の通りです: – 日本にはスパイ防止法がないため、最先端技術が流出するリスクがある。
– ラピダス社の日本進出には技術流出の懸念がある。 – IBMは過去にスパイ事件を仕掛けた経緯があり、今回も同様の懸念がある。
– 日本政府の特別会計を使った半導体産業への投資には疑問がある。
– 半導体技術の継承のために本当に必要な政策を考える必要がある。
二人は、この問題の本質はスパイ防止法の不在であり、技術流出のリスクを軽減するための法整備が必要だと指摘しています。
また、政府の投資政策についても慎重な検討が必要だと述べています。